全日本コーヒー商工組合連合会

[産地国]ハワイ視察研修 2011年・2012年

良質なウォッシュドコーヒーの産地として名高いハワイコナの産地を訪問し、農園、精選工場を中心に視察。 複数の農園や精選工場を訪問し、栽培から収穫、精選に至る一連の工程をご見学いただきました。

ウチダ農園場

ウチダ農園

ハワイに移った日本人、その子孫である日系人の当時の暮らしをそのまま残し、日系移民コーヒ一博物館的な存在の農園である。

精製作業小屋遠景

精製作業小屋遠景

ウチダ農園

精選所(ウエットミル)の内部は、ほとんどが木製でできている。

木製果肉除去機

木製果肉除去機

ウチダ農園

セクションごとに説明があり、自分たちで作った精選道具など興味深いものが多い。 コーヒーの精選・選別など基本的なコーヒ一作りとは少し異なるが、昔々コーヒーに情熱を燃やした先人たちの知恵を見ることは、感じる物が多い。

試飲販売

試飲販売

ROYAL KONA COFFEE

ハワイコナの自家焙煎店。コナコーヒーやフレーバーコーヒーの試飲販売を行っている。

トーマスグリンウェル農園

トーマスグリンウェル農園

GREENWELL農園

コナコーヒー最大級で1、2を争う精選業者。初代はホノルルより移住し1850年に事業をスタート。 現オーナーが四代目。初代は牧場を行っており、二代目以降にコーヒー事業をスタート。 当時は日系移民にコーヒーを作付した状態でリースをしていた。チェリー集買場の目の前に1885年に植えたティピカが残っている。 老舗農園として技術指導なども行う中心的な農園である。o専用の豆をローマ郊外の工場でローストし、ミックスしている。

精選・パルピング(果肉除去)

精選・パルピング(果肉除去)

GREENWELL農園

チェリーの投入→脱肉(この時、未成熟果実が脱肉されない)→スリットの入ったドラムでパーチメント、チェリーを分離する→ ミューシレージの付いたパーチメンを水槽に投入(浮くフローター、沈むパーチメントに分離)→ それぞれが別の発酵タンクに移される(14~20時間かけて処理)脱肉されたパーチメント、脱肉されていないチェリーは3グレードに分かれている。 写真は、脱肉されタパーチメントコーヒーが2つのタンクに分かれて入っていく様子。グレードの低いものの方がやや茶系の色になっている。

ハウス内で行われる苗の接ぎ木(グランディング)

ハウス内で行われる苗の接ぎ木(グランディング)

GREENWELL農園

ここでは全てグラフティング(接ぎ木)を行っている。グラブティングを行う理由はネマトーズ対策。 過去にKONAで大きな被害を受け、その名残でグラフティングをしている。 また同農園は地域のリーディング農園であるため、ここで作った苗を近郊農園に配ることも行っている。まさしく組合的な活動内容だ。

根の部分:リベリカ種
上の部分:ティピカ(100年もののティピカ)

乾燥

乾燥

GREENWELL農園

この乾燥場の下に機械乾燥機がある。天日乾燥+機械乾燥を行っているが、規定を設けずにその都度チェリーの入荷状況で臨機応変に天日と機械を併用しているとのこと。。

ビニールテントの下で乾燥させたパーチメント

ビニールテントの下で乾燥させたパーチメント

MOUNTAIN THUNDER農園

KONA地区で一番標高が高く、有機認証(USDA) を有する農園。 (JASへの切り替え不可)この農園も近隣農園のチェリーを購入して精選委託、買い取りも行っている。 また農圏内にショップがあり、非常にセンスの良いオリジナル商品もラインナップしている。視察時には多くの観光客で、賑わっていた。 乾燥場は屋根が付いており、機械との併用を行う。

CUPPING

CUPPING

HULA DADDY農園

ここでは参加者のピッキング体験を予定していましたが、土砂降りのために中止。Cuppingのみ体験した。

Sample1:パルプド・ナチュラル
Sample2:ナチュラル
Sample3:FW エキストイラファンシー
Sample4:FW ファンシー

農園概要

●ウチダ農園

日系移民の博物館的な存在。昔ながらの日系移民の生活を垣間見ることができる典型的な観光農園。

●GREENWELL農園

KONAで常に上位の精選業者/設立:1850年/オーナー:トーマス・グリーンウエル(4代目)/ 農園面積:75エーカー/標高:400~600m/生産量:8,000袋(45kg換算)/栽培品種:ティピカ 

●KONA農協

コーヒーの精選とマカダミアナッツの加工を行う代表的なKONAの農協。 農協で2業態を行うのはハワイでここだけ。本年度で57年目の歴史がある。 以前近郊の農協と合併した際には300の農家が登録していたが、現在の登録コーヒー農園は32のみ/ マネージャー:ソテロ・アグート・ジュニア/ 標高:1700~2000フィート/栽培品種:ティピカ

●SUGAI FARM

農園主:Lee Sugai(日系4世)/ 創業:1910年

●MOUNTAIN THUNDER農園

有機栽培認証農園/設立:1995年/オーナー:トレント・べイトマン/標高:500~1000m/農園面積:20エーカー/コーヒー栽培面積:10エーカー(樹数:10,000本)/ 栽培品種:ティピカ/収穫量:10,000LB (生豆換算)/収穫期:7月~翌年2月/肥料:海藻なども与えておりミネラル分を補充している。
特記事項:ガチョウ、鶏、ロバなどをー緒に飼っており、自然に近い状態で生産している。水源:雨水をタンクで集めて使用。

●KONASTAR農園

元々機械関係の技術者で、コーヒ一事業に転身した。コーヒーをビジネスとして捉え、投資とリターンを天秤にかけながら事業を進めている。 最新鋭の精選機械が入る。設立:1997年/オーナー:デビッド・ウイルキンソン/農園面積:45エーカー/ コーヒー栽培面積:15エーカー(現在10エーカー新植のために準備中)/栽措品種:ティピカ/生産量:60,000LB/事業:自社農園で生産したコーヒーを委託先で焙煎加工して販売。

●HULA DADDY農園

新興大型農園。設立10年目の若い農園で、牧場をコーヒー農園にした。コンテスト優勝歴があり、様々な試みをしている。 設立:2002年/オーナー:リー・カタソン/栽培面積:30エーカー

ハワイ島農園情報

1.生産量・農園数

新島内のコーヒー農園数ははっきりしていないが約600と推測されている。生産量もハワイ州は認識しているが公表はしない。 25,000~35,000 袋(45kg 換算)程と思われ、通常裏年・表年が隔年で発生する。本来今年は表年となるが、昨年度のベリーポーラー対策で、 プルーニング(剪定)を行っている農園が多く、昨年より少し多い程度の収穫と予想。今期の生産予想は30,000袋(100lb換算)。 平均すると1農家当たりグリーン50袋(5,000lb)の収穫量。

2.栽培品種・標高

島内で生産されるコーヒーの栽培品種はティピカが多く、栽培されている標高は200m~900mに集中、一部1,000mを越す農園も存在している。

3.開花

KONAでは開花期も長く、開花数も多い。聞いた農園で比較的まちまちの答え…。はっきりとしない。 例年の開花は4~5回であるが、昨年度の開花は2~3回と例年より少なかった。

4.収穫期

11月~2月頃がメインとなり、標高の高いエリアでは4月頃まで行われることがある。 一般的に、1人が1日に収穫するのは、チェリーで100lb。