Overseas
連合会の活動 海外研修事業
韓国視察研修 2013年 2013.11.20~2013.11.23
コーヒービジネスの成長著しい韓国で開催された『ソウルカフェショー』を見学するとともに、喫茶・飲食店舗やさまざまな商業施設を訪問。
そのほか、済州島でのコーヒー農園見学、ソウルではコーヒー分析センター、若者が集まる街「弘大(ホンデ)」エリアをはじめ、市内で有数の繁華街を見学。現地の珈琲業者との懇談なども用意いたしました。
視察研修概要
- 研修国:
- 韓国
- 実施日:
- 2013年11月20日~23日
- 参加数:
- 17名
- おもな視察地:
-
- 済州島/コーヒー農園JEJU COFFEE FARM、万丈窟、城山日出峰、龍頭岩
- ソウル/第12回カフェショー(COEX)、弘大(ホンデ)カフェ、力ルディ・珈琲クラブ、coffee the sol、コーヒーアカデミー、梨泰院(イテウォン)カフェ、コーヒー分析センター、南大門・仁寺洞ほか
JEJU COFFEE FARM(コーヒー農園
ハウス栽培方式の農園。10年ほど前から栽培を始めており、昨年初めて本格的な収穫ができ80kg生産したとのこと。 韓国は緯度的、気候的に見ても栽培に適していない。 ただし、済州島は火山の島であり土壌が火山灰で出てきておりそれが適しているとのこと。
JEJU COFFEE FARM(コーヒー農園
経営者は女性の方であり、本業はコーヒーロースター。 美味しいコーヒーを探しているうちに、自分で栽培することが一番と考え栽培を始め、いまでは韓国でコーヒー栽培を広げようと奮闘されている。 まさしく韓国の『コーヒーの母』である。
JEJU COFFEE FARM(コーヒー農園
この動きに賛同し、韓国コーヒー関係のNPO法人「チェジュコーヒー研究文化院」が協力し活動をしている。 韓国においてコーヒー生産が盛んになり、コーヒー文化がもっと広がり、向上していくことを心から応援したいと思わせた農園であった。
韓国カフェショー2013
出展者は、コーヒーロースター(=カフェ経営)、焙煎機メーカー、マシーンメー力一、生豆シッパー(生産国大使館含む)、食材メーカーなど。 日本からは力リタ、ハリオ、小川珈琲など。 各ブースの展示方法は素晴らしいものがある。 非常に凝っている。だだ置いているだけの展示はない。参考になる展示が非常に多い。
韓国カフェショー2013
ブースは一つ一つが大きい。 日本では小間代の問題で小さい小間が多い印象があるが、韓国では3mX3m (日本では30万円が一般的、韓国でもほぼ同値か)を二つ三つ借りているのが当たり前。
コーヒーアカデミー
訪問したカフェ「coffee the sol」の経営。立派な教室と、焙煎訓練場を保有。 コースは様々で、初心者向けの抽出教室や、焙煎技術に特化したコース、本格的にカフェ経営者を育成するコースなど多岐に渡る。
コーヒーアカデミー
大手チェーン以外のマイクロロースターは、特定の人物に師事することが多いとのこと。 アカデミーを開く喫茶経営者(=マイクロロースター)もおり、技を伝承している。ブレンドに常にお湯を加える方法もこの伝承による(後述)。
コーヒー分析センター
元新聞記者がコーヒーに興味をもち分析センターを作って研究を行っている。 研究内容は多岐にわたるが、世界的に研究が進んでいないものを中心に進めているようだ。 焙煎の仕組み、粉砕の仕組み、収率関連、ペーパーなどメッシュの適性にも力を入れている。
コーヒー分析センター
焙煎は、一粒一粒にどのように熱が加わり、変色し焼き上がるのかを見ている。 それを調査する手作りの焙煎機は、一粒の生豆のみを焙煎できる優れもの。500度まで上昇可能。温度変化と撮影による変色が確認できる。
コーヒーの味
『軽い』この一言に尽きる。いわゆるアメリ力ンではなく、お湯で薄めるコーヒーが普通のメインブレンドとして多くの店でメニュー化されている。 エスプレッソをお湯で薄めたアメリ力ーノも一般的であるとのこと。飲んでみたが、エスプレッソが持つ特有の苦味・コクは感じられず、非常にあっさりすっきりの味である。 ゴクゴクと量をこなしたいときにはもってこいの味であった。
コーヒーの味
また、ブラックで飲むのも特徴的である。ミルク(フレッシュ)がテーブルに置かれていることはまずない。甘みを求める客はいるようでシュガーはある。 余談ではあるが、ネットで「女性はストローでホットを飲む」と書かれていたが、確認したところ多くはないが実際に飲む人がいるとのこと。
コーヒーの味
液売りは、メインブレンドが600円程度で、単品になると700円~800円から。1,500円なども存在する。 一般的な収入が日本の7割程度と言われている中、これは相当高いものである。 挽き売りは安くて6,000円/kg。8,000円は普通に存在する。 一番高かったのが、ゲイシャ45,000円/kg! ただし、ゲイシャに関してはCOEなどであればもっと高値も存在するので一概には言えないが。 ただ、自ら輸入し焙煎していることを考えると、全般的に良い商売であろう。
団長レポート
全日本コーヒー商工組合連合会は、コーヒーロースターを中心に商社、生豆問屋、器具メーカーなどが所属しているレギュラーコーヒーの関連事業者の団体です。 その中で情報委員会はコーヒーの消費地への視察研修を行ったり、セミナーを日本各地で開催し、所属企業の従業員の知識向上や販売力の向上につながる企画を策定しています。 今回は、成長著しい韓国のコーヒーマーケットを視察し、販売力の低下している日本のカフェ市場に新しい力を吹き込むヒントを探そうとの企画になりました。 参加者は、団長を情報委員会の委員長の成田が務めることとなり、総勢17名が日本各地から韓国を訪問しました。 現地では、富士ローヤルの福島社長と富士ローヤルコレアのスタッフ2名、計3名で韓国でのアテンドにあたっていただきました。
済州島では、ビニールハウスでコーヒーを育てながらコーヒーの販売に努めるjeju coffee farm を訪問し、その真剣にコーヒーに取り組まれる姿にうらやましくもあり、改めてコーヒー
魅力の発見につながりました。ソウルでは、ソ社長のカルディコーヒーなどのカフェの見学や韓国のコーヒー業界の方たちとの会食で意見交換したり、COEXでのカフェショーの視察を行いました。
ソウル市内では、弘大をはじめ、梨泰院、南大門、仁寺洞の各エリアを視察。カフェのみならず活気のある外食産業の姿には驚きました。その店舗数や店舗規模など、低価格志向が強まるばかりの日本では考えられない活気に満ちた姿がそこにはありました。
カフェショーの視察においても同様です。日本においてはホテルレストランショーでは大規模な展示会が開催されますが、
カフェがテーマの展示会でこれほどの規模のものはありません。驚いたのはその規模のみならず展示されている商品が多種多様な事。
日本では見かけることのできない商品が沢山ありコーヒー界にいる私たちですら楽しくてワクワクするひと時でした。
韓国の方たちのアグレッシブな商売への意気込みは閉塞感の日本のマーケットを見ている私たちにはとても刺激的で、
私たち自身がマーケットを動かすつもりでコーヒーに向かわないといけないと感じさせられました。
今回韓国を訪問して一番大事な商売の原点を教えてもらったような気がします。韓国の方々に負けないよう日本のコーヒー業界を盛り上げていきたいと思います。
視察団長:成田哲朗(情報委員会委員長)
韓国のコーヒー事情
韓国はここ何年かコーヒーブームが続いていて、コーヒーの需要も急激に増加しています。
普通の喫茶店やカフェも増えていますが、カフェではない所でもコーヒーを出すお店、たとえば、美容院、眼鏡屋、食堂、小型ショップなども、コーヒーの無料サービスをするところが増えています。 そのため、エスプレッソマシーンも低価格のものから高級品まで、いろんな種類が使われていますし、マイクロロースターも増えていて、世界各国からのロースターがマーケットに進出しています。 しかし、ソウルやプサンなどは家賃が高く、インテリア中心の開業が続いていて、富裕層や定年退職を迎えた人たちが始めるという頃向が強いのです。 撤退も多いですが、撤退した所にまたカフェができるというパターンが続いている状況です。
最近は、「COE専門店」や「ダイレクト・トレードをしています」という文句がはやっていますし、アメリカのサードウェーブの追従者達が勢いを見せています。
メニューとしては、浅煎りのドリップやエスプレッソを薄めて出すアメリカーノ、シングルオリジンのエスプレッソなどが出されています。ドリップ器具の種類を選んで、飲むというのも日本にない韓国のカフェ文化といえるでしょう。
マイクロロースターも増えていますが、チェーン店の出店も勢いが止まらず、韓国の会社が中国に出店し成功しているように見えるケースも増えています。
韓国の人にとってコーヒーショップは、「コーヒーを楽しむための空間」というより、「どこかで逢って話をする空間」という意味が大きく、コーヒーの品質や味にこだわるより、
「誰かとおしゃべりする空間」に見合ったコンセプトでの開業が続いています。最近は24時間営業というチェーン店も増えています。
フランチャイズ店舗数は、2013年上半期基準で、6,000店舗を上回ると想定していて、製造業として登録しているマイクロロースターだけでも5千店舗以上、登録されていないロースターも数多く、
焙煎をしないでカフェ業まで含めて、コーヒーを扱っているお庖の数は2万店舗を軽く上回ると専門家たちは見ています。韓国は業種登録が細分化されていないため、正確な数は不明。
生豆を扱う会社も増えていて、アメリカや日本からの参入者も多く見られます。 生産地と縁があるビジネスマンが、生豆の輸入業を始めるというケースも多いようです。