Interview
組合員インタビュー

全日本コーヒー商工組合新規加入のご案内
1966年にコーヒー焙煎業者の全国統一組織として創設した全日本コーヒー商工組合。
組合員歴8年・西日本コーヒー商工組合初の女性理事を務めるふじ珈琲の上田美由紀氏に、加盟を決めたきっかけや、組合員になることで得られるメリットをうかがった。
Interview #1
山口県下関市で生まれ、福岡県で美容業を目指していた30 代半ばで、先代の他界を機に下関に帰りふじ珈琲を継ぐ。コーヒー加工品やオリジナルパッケージの開発、ネルドリップのカフェなどを手がけ事業を拡大。2019 年に西日本コーヒー商工組合の初の女性理事に就任。
山口県下関市で生まれ、福岡県で美容業を目指していた30 代半ばで、先代の他界を機に下関に帰りふじ珈琲を継ぐ。コーヒー加工品やオリジナルパッケージの開発、ネルドリップのカフェなどを手がけ事業を拡大。2019 年に西日本コーヒー商工組合の初の女性理事に就任。

義母から継いだ味を守りながら、挑戦を続けてきた40年「コーヒーが持つ可能性を信じて、常に未来に向けてチャレンジしていたい」
山口県下関市でコーヒー豆の卸・小売販売や、ネルドリップのカフェを手がけるふじ珈琲の代表取締役・上田美由紀氏は、力強くそう語った。
1985年、義母・ミツコ氏によって創業した同社は、もともとコーヒー豆や食品を扱う卸売会社だったという。先代の他界を機に、上田氏が継ぐことになったのは1995年、32歳の時。「それまでコーヒーは苦手だった」というほど、コーヒーとは無縁の生活を送っていた上田氏だが、先代が懸命に働く姿を目にしてきた彼女の心に迷いはなかった。
以来、先代から受け継いだ中煎りベースの軽やかな味わいを30年以上にわたり守り続けてきた上田氏。焙煎後の鮮度を大切にし、需要に合わせて少量ずつ焙煎することで常にベストな状態のコーヒー豆を提供する。さらに、持ち前のチャレンジ精神と豊かな発想力で「珈琲羊羹」や「珈琲飴」などさまざまな加工品開発にもいち早く着手。2013年には観光名所・唐戸市場のすぐそばにネルドリップのカフェをオープンするなど、時代の変化を見据えた先見の明で事業を拡大し、ふじ珈琲は現在、下関の役所や山口宇部空港と取り引きを行うほど地元で愛される存在となった。
「コーヒー初心者だったからこそ、コミュニケーションを何より大切にしてきました。人の輪が広がれば、視野や知見が広がり、一人では得られない発想や情報に触れることができる。常に新しいことに挑戦したいんです」と上田氏は語る。

組合への加入の決め手は、“学びの場”が得られること
上田氏が全日本コーヒー組合連合会に加入したのも、そんな人の縁がきっかけだという。賛助会員だった友人から紹介され、組合の存在を知ったのは2016年。右も左もわからないまま、がむしゃらに走り始めてから20年以上経ってからだ。
「すぐに加入を決めました。なぜなら、求めていた“学びの場”が得られると思ったからです」と、上田氏。常に時代を先読みし、より幅広いお客様に自社のコーヒーを親しんでもらうために何をすべきかを考えてきた上田氏は、「これからは経験や感覚だけでなく、確かな知識と情報が必要」と感じていたという。
現代は、食の安心安全や食品衛生管理、さらには法改正など、事業者にはさまざまな面で的確な対応が求められ、何事も「知らなかった」では済まされない時代。長い目で事業を継続・拡大するためには、経営者として、そして食品事業者、コーヒーのプロとして、あらゆる知識の習得やアップデートが不可欠になると考えたのだ。
加入後は、組合が主催する勉強会に積極的に参加。特に、ふじ珈琲のようなマイクロロースターにとって、商社によるコーヒー豆の農園や市場についての講習会、食品管理、軽減税率、インボイス制度といったビジネス面でのサポートは非常に貴重だったと話す。「困った時に相談できる場があることは大きい」と、上田氏。ビジネスライクな話から焙煎機のトラブルまで、豊富な経験を持つ仲間や先輩、専門家の存在は心強いという。
組合を通して広がる人の輪
交流も広がった。現在、西日本コーヒー商工組合の理事を務める上田氏は、2024年に同組合主催で初めて開催した「熊本コーヒーフェスティバル」に参加。九州各地のさまざまなロースターと触れ合い、多くの刺激を受けたと振り返った。
小規模のロースターにとって、県外に出られるチャンスはそう多くない。他県の人にも広くふじ珈琲の存在や味を知ってもらうこと、さらに自身にとっても、その土地特有の嗜好やトレンドに触れられたことは大きな財産になったそう。イベント後に店を訪れる客も多く、今後も積極的に交流を深めていきたいと語る。

これからの時代は、個と集団の両立、そして情報と若い力が必要
コーヒーは今や、日本人の生活に欠かせない存在だ。しかし、コーヒー豆の2050年問題が危惧されているのもまた事実。これから先、各ロースターは個として独自性を表現しつつも、日本のコーヒー文化を継承・発展させていくためには、協力も重要になると上田氏は考える。
「会員が増えコミュニティが広がれば、より多様な視点や知見が得られます。ぜひ若い方とも一緒に取り組みたい。時代に合った組合をみんなでつくっていければ」(上田氏)
そのためにも、組合員に向けた生豆の斡旋や、組合員が持つ沖永良部島(鹿児島県)の農園への視察ツアーなど、多様な課題や企画に取り組んでいきたいと語った。

「下関といえばふじ珈琲」を目指して
最後に、ふじ珈琲の未来を「下関に来たら必ず立ち寄るべき存在になりたい」と、言葉を強くした上田氏。多くの人に店に来てもらい、自慢のコーヒーの味やつくり手の想いを直接伝えることができれば、卸売も小売にも自然と広がっていくというビジョンだ。
「これからもお客様、お取引先様一人ひとりとのコミュニケーションを大切にし、常に前を見て進んでいきたい」
そう語った彼女の瞳は、まだまだ情熱であふれている。
有限会社 ふじ珈琲
住所 | 山口県下関市中之町1-14 |
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電話 | 水曜 |
営業時間 | 11:00~17:00 |
定休日 | 水曜 |
Web | https://roast-fuji.com/ |

全日本コーヒー商工組合連合会とは
昭和41年(1966 年)に「コーヒー焙煎業者(レギュラーコーヒー製造業)の全国統一組織」として農林水産省の認可を受けた組合組織であり、日本を代表するレギュラーコーヒー業界の団体。
全国を7 エリアに分け、各エリア1 組合・全7 組合で構成。厳選された生豆を使い、確かな技術で焙煎された最高品質のレギュラーコーヒーのさらなる消費増大と日本のコーヒー文化の向上を目指し、幅広く活動している。
入会のメリット
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*各種研修会・講演会への参加
農林水産省及び各省庁、全協、連合会など、さまざまな団体が主催する各種講演会や研修活動への参加が可能。
教育や啓蒙事業を推進している。経営者様はもちろん、従業員の方々への教育・啓蒙、人材育成の機会としても利用可。
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*産地国・消費国研修
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*情報・資料の共有
農林水産省、厚生労働省、公正取引委員会など関連省庁からの通達事項や情報の入手が可能。また、全日本コーヒー協会をはじめ、各業界団体が発信する情報やデータ資料を提供。
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*共同購入
カレンダーやポスターの製作・頒布など、共同購入事業を推進。